Archive for 2015年3月31日

退任のご挨拶

こんにちは、剣淵町地域おこし協力隊の髙村です。

町民のみなさんには広報や新聞を通じてご報告をさせて頂きましたが、3月末(本日)をもって地域おこし協力隊を退任する事となりました。協力隊の任期は最長三年ですが、半年残しての退任となります。

 わたしは絵本で町づくりをしている剣淵町で、暮らしの中で少しでも絵本に触れていたいという理由で地域おこし協力隊に応募しました。活動の中で絵本や子どもと触れる機会が多かったこと、それだけでも剣淵町に来てよかったと思っています。地域おこし協力隊の活動以外でも、絵本作家さんや編集者さん、たくさんの素敵な人たちに出会ったことで、自分の世界が一気に広がりました。そのおかげで絵本に関する活動が自分のライフワークだと、心から思えるようになりました。

 都市部とは違い、人と人との距離感の近さに慣れるまで少し時間がかかりましたが、今ではその距離の近さが落ち着くようになりました。剣淵町のような農村の穏やかな雰囲気が自分に合っているような気がします。車が無いと移動に困ったり、お店も少ないですが、とても暮らしやすい町だと思います。

 農村の景色の美しさも魅力のひとつです。私は北海道出身ですが、札幌という土地柄あまり農業に触れる機会がありませんでした。水の張った田んぼを見るのも初めてで、その美しさにも感動しました。軽トラマルシェに参加して、農業について少し学ぶことができたことも刺激になりました。

 地域おこし協力隊の活動として、まちの人の声を聴きたいとスタートしたまちづくりカフェでは、剣淵町の様々なことを知ることができました。特に歴史を学ぶことがとても楽しく、絵本の里づくりの歴史を調べてまとめるという目標もできました。地域の人は地域おこしに興味がないものと思っていましたが、自分の出来るかたちで町に関わりたいという人がいるということが、まちづくりカフェを通してわかりました。

 様々な経験をさせて頂いた地域おこし協力隊の活動でしたが、「地域おこし協力隊=地域の為になる事をする」という考えにとらわれ過ぎて、徐々に自分のやりたいことと地域おこし協力隊としてやりたいことの間にギャップが生じてきました。また、よそ者が(いわば)勝手にやるような事業が本当に地域おこしにつながるのかという疑問も生まれ、だんだんと自分の活動に自信が持てなくなりました。そして任期終了後は剣淵町から出るということを昨年のうちに決めていたこともあり、地域おこし協力隊の活動に自信がないまま国からお金をもらって活動するわけにはいかないと思い、退任することを決めました。

 任期を半年残しての退任というのは、剣淵町の地域おこし協力隊としては失敗例かもしれません。地域おこし協力隊としての役割を見いだせなかった自分もいますが、様々な活動を通して町民のみなさんと触れ合うことができ、まちについて一緒に考えることができたというのは良い経験でした。

活動を通して素敵な仲間に出会うこともできました。

今後は地域おこし協力隊でも剣淵町民でもなくなりますが、これからは一人の地域住民として、深く剣淵町のまちづくり(特に絵本の里づくり)に関わらせていただきたいと思っています。貴重な経験をさせて頂き、本当にありがとうございました。

剣淵町地域おこし協力隊 髙村匠子